名門貴族リカーゾリ家によるキアンティ1000年の歴史
千年の歴史を誇るカッキアーノ城の城主リカーゾリ家は、その源を１１世紀のロンバルディアの男爵家までさかのぼる、気高く禁欲的な武門の旧家で、歴史上２人も首相を輩出しているイタリア屈指の名門です。
フィレンツェにあるカキアーノ城は、中世のフィレンツェとシエナの戦いで重要な役割を果たしましたが、ワイン史においても、リカーゾリ家は無くてはならない存在です。
とりわけ統一イタリア共和国の第二首相を務めたベッティーノ・リカーゾリ男爵（1809~ 80）は、それまでの「サンジョヴェーゼ種」だけで作るキアンティが、時にやや渋く、一般向きでないことに注目。それまでのキアンティの改造に取り組み、黒ぶどうの「サンジョヴェーゼ種」に、黒ぶどうの「カナイオーロ・ネーロ種」と白ぶどうの「マルヴァジーア種」を一定の混合率で混醸してワインを和らげることを提唱。
さらに、この「カナイオーロ・ネーロ種」のぶどうを、収穫後に陰干しをして半乾燥させて糖度を高めておいてからモスト（果汁）にして、一旦醗酵が収まっているワインに加えて再発酵を誘発するという、古代ローマ以来の伝統的な「ゴヴェルノ醸造法（Governo Method)」を適用することにより、口当たりがよく、しかも爽やかで飲みやすい赤ワインを生み出したのです。
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