イタリアワインの格付け
●イタリアワインの格付け
イタリアでは、フランスのAOCに倣い、1963年にワイン法が制定され、イタリアワインの格付けとしてDOCが定められました。その後、DOCG、IGT、VdTなどが順次定められました。もともと、原産地の保護を優先しすぎるあまりワイン自体の品質という点においては不備の多い法律であったため、最初の制定以後、幾度かの改正が行われています。
2009年にはEU域内のワインの法的規制により、DOCGとDOCがDOPに、IGTがIGPに、VdTがVINOに再分類されましたが、まだEU表示は普及しておらず、現在市場に出荷されているイタリアワインのほとんどが伝統的表示をしているので、ここでは旧格付けを解説しています。
DOCG
(Denominazione di Origine Controllata e Garantita 、統制保証原産地呼称ワイン)(現在73銘柄)
DOCワインのなかでも特に評価の高いワインを国が保証するもので、1984に新設されました。生産地、ぶどう品種、栽培方法、最大収穫量、醸造方法、熟成方法、最低アルコール度数等が必要条件を満たしているか、色、香り、風味などの質的特性がしかるべき力量を満 たしているかどうかについて、農林省、商工会議所による、最も厳正な検査と審査を受けて認可されます。DOCGワインには政府が認可したことを証明するシールが貼られています。(赤ワインでは紫色、白ワインでは黄緑色)。
しかしながら、品質のバラツキの大きいキャンティや大量生産のアスティなどが、最高位のDOCGの格付けに相応しいかという意見もよく聞かれ、DOCGワインだからというだけでは安心できないという側面もあります。
DOC
(Denominazione di Origine Controllata、統制原産地呼称ワイン)(現在330銘柄)
フランスの原産地呼称法(AOC)に倣って1963年に定められた格付けで、生産地、ブドウ品種などが限定され、栽培方法、最大収穫量、醸造方法、熟成方法、最低アルコール度数等、生産過程が規定の必要条件を満たしているか、商工会議所の検査、審査を経て認可されます。
IGT
(Indicazione Geografica Tipica、地域特性表示ワイン)(現在118銘柄)
1992年に新設された分類。テーブルワインよりも生産地、ブドウ品種が限定されており、フランスの「Vin de Pays」に相当します。ラベルに表示されている地域の同じ品種のぶどうを85%以上使用することが義務付けられています。
VdT
(Vino da Tavola、テーブルワイン)
最も生産量が多い、いわゆるテーブルワイン。EUで認められたぶどう品種で、アルコール度数が9%以上という最低の基準はあるものの、その他には特別な規定はなく、生産地やぶどう品種の表示の義務はありません。使用品種や生産過程等に関する規定にしばられないので、独創的なワイン生産者が自由なワイン造りを指向し、敢えて格付け申請をせず、VdTを名乗ることを選択することも多いようです。DOCG、DOC以上に高品質なVdTワインが存在するのは、日本酒における無鑑査銘酒と似た状況と言えるかもしれません。
※各格付けの銘柄数は2011年11月現在の数値です。
●格付けの特記事項(質による分類)
DOCG、DOCワインについては、CLASSICO、RISERVA、SUPERIOREなど、質による分類を示す特記事項がラベルに表示されることがあります。
古くからそのその土地特有のワインを生産してきた特定の地域を指し、「クラッシコ」が付くワインは、付くかないワインより上質です。例としてキャンティ・クラッシコ、ソアーヴェ・クラッシコなどがあります。特に、キャンティ・クラシコは黒い鶏の紋章の表示をしており、キャンティは別物と考える必要があります。
「リゼルヴァ」の付かないワインよりも貯蔵熟成されたワインで、アルコール度数、原産地毎に決められた法定熟成期間を超えていなければなりません。DOC,DOCGのワインには通常「リゼルヴァ」の付くワインと付かないワインがあり、前者がより上質です。
「リゼルヴァ」は、地域で定められた期間より、少なくとも2年間熟成させていなければなりません。例えば、熟成期間3年以上が要求されているバローロの「リゼルヴァ」は熟成期間5年以上、熟成期間2年以上が要求されているバルバレスコの「リゼルヴァ」は熟成期間4年以上が必要となっています。
- 投稿者: italiawine-goudougaisya
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